Agile Japan 2017 京都サテライト おいでやす〜のメモ #AgileJapanKyoto
Agile Japan 2017 京都サテライト おいでやす〜 の参加/運営メモです。
「ブログを書く かつ 現場で実践するまでがAgile Japan 2017 京都サテライトです。」
って言わせれたので。
ちなみに元々は「ブログを書く または 現場で実践する」ってなってました。 「または」の場合、言語によっては前を評価すれば後ろは評価されないので、それはないでしょーって言ったら「かつ」になりました。 めんどくさい奴ですみません。あ、実践はしたのでブログ書いてます。
聞いたやつ
雑に書きます。
基調講演(動画)
前週の大阪サテライトと同じなので、内容については割愛。(ブログ書いてないけど)
大阪サテライトではスライドのズームとか開原さんが頑張ってらっしゃったなーと。 設備とかの関係でできなかったので、うん。 動画サテライトはスライドだけの動画がいいなと思いました。
メトリクスによる「見える化」のススメ: No 見える化、No 改善
タイムテーブルの都合で、前半1時間だけサポート?的に観戦。 チームで課題を出し合って、一つ課題を選択し、メトリクスを設定してみようってところまで。
想定課題だと難しいなと思うのがワークショップとしてのところ。 で、主眼であるメトリクスを出しているフェーズを見ていて思ったのは、メトリクスを挙げずに解決を考えちゃってたのが印象深かった。 みんなエンジニアだなーと。 メトリクスを設定する意義がぼやけていたような気が。
分析と創造は思考のスイッチが違う(後述の「みんなではじめるデザイン批評」より)ので、何をメトリクスとするかを分析しているフェーズで解決策を考えるのはあまりよろしくないよーな。 実際の打ち合わせでもあるあるで、おそらくファシリテーターが口出しする展開な気がします。
みんなではじめるデザイン批評―目的達成のためのコラボレーション&コミュニケーション改善ガイド
- 作者: アーロン・イリザリー,アダム・コナー,長谷川恭久,安藤貴子
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
- 発売日: 2016/05/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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何を計測すればわかりそうかって想定してウォークスルーとかする感じかな。 思いつきの対応ではなくまず計測から入れってのはパフォーマンスチューニングでは鉄則の話。プロセスでもそうってことだろうか。面白い。 タイムテーブルの都合で、後半1時間は見れなかった。残念。。
リモートチームの道具箱
チームにおいて何を重視し、どの様なトレードオフを受け入れて試行錯誤しているかが印象深かった。 最低ラインに合わせているように見えるかもしれない、けれどチームにとってどうあるとよいのかに向き合って選択していってるのだろうなー。 話にあがってた道具をそのまま同じ様に使っても思う様に効果は出ないでしょうね。
アジャイルで缶詰? 〜ソフトウェア開発以外でのアジャイル活用事例〜
非常に魅力的で、缶詰が食べたくなりました。会場で即売会されたら多少高くても買ってた・・・。 ソフトウェア開発の文脈で得た「アジャイル」を非ソフトウェア開発への適用。 似た様な話はリーンスタートアップなどでもありますが、対象が缶詰という身近なもので具体例を挙げられるとイメージしやすいですね。
芯を通す開発を目指して ー アジャイル"ファン"が本気でアジャイル開発に取り組んだ2年間 ー
芯ってなんだよ、俺はこれを芯と捉えるよ、という話。 京アジャに参加し始め当時の私からすればエキスパートに見えていた彼。 まさかの「アジャイル"ファン"」カミングアウトですよ。まじかー、と。でも言われて見ればぴったりのネーミングですね。
他諸々気になるところはあったので今度話しましょーって声をかけた。どうなるかは知らない。
LT
酔っ払いのLT大会とはかくあるべしって感じでした。
永田さんのLTが強烈で、会場からの延長要請により2セット行われました。 色々と考えさせられる、というか終わった後少しお話させていただいて、思考整理してたらブレイクスルーがきたのでとても得した気分です。
運営的なのを含めた感想
色々と反省点が多かったです。 色々ってのは、打ち合わせにいけなかったり、当日集合時間に遅れたり、自分の役割把握してなかったり、ほんと色々。まあいいや。 ふりかえりしたけど、次改善するかは知らない。次ってなんだよだし。
参加された方々はもちろんですが、それ以上に日新システムズさんの方々が強力にバックアップしていただいたおかげで成立したと思います。 この場に書いても届かないでしょうが(届かなくていい)、ありがとうございます。
Java本格入門を読みました
ゴールデンウィークの間に圧倒的成長をしたい若手プログラマさんに丁度いいんじゃないでしょうか。
Java本格入門 ~モダンスタイルによる基礎からオブジェクト指向・実用ライブラリまで
- 作者: 谷本心,阪本雄一郎,岡田拓也,秋葉誠,村田賢一郎,アクロクエストテクノロジー株式会社
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2017/04/18
- メディア: 大型本
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Java本格入門をせろさんからいただきました。
よかったところ
この本で特に読むべきところを挙げるならば、「筆者は」で始まる部分です。
Javaはエコシステムも含めて選択肢の多い世界のため、「どれを選べば良いかわからない」こともしばしばあります。
そのような問題に対して、経験をベースにどういう考えでどんな選択をしているかが書かれています。
こういうのを前面に押し出した書籍は希少かなと。
ここだけ抜き出してもすごく価値があります。目立つようにしててくれたらいいのに。
言語仕様等、事実の解説はどうしても不足しますが、それは仕方ないところ。 プログラミング言語Javaはこの本よりも厚いですしね。
- 作者: ケンアーノルド,デビッドホームズ,ジェームズゴスリン,Ken Arnold,David Holmes,James Gosling,柴田芳樹
- 出版社/メーカー: 東京電機大学出版局
- 発売日: 2014/05/10
- メディア: 単行本
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膨大な範囲を扱っていますが、焦点を現場で使うものの現場の使い方に絞っているので、深さも十分なものになっています。 タイトルの「本格」にぴったり合っているんじゃないでしょうか。
微妙なところ
スベってなかった。
「ファイル操作を極める」のところが少々冗長と感じました。 ファイル操作のバージョンアップにおける変遷は業務では特に重要なので、Java6以前との対比は必要なんでしょうが・・・毎回繰り返す必要はないんじゃないかなーと。なんか他と記述レベルが違う感じ。
また、序盤に集中している*1のですが、誤りと思われる部分もそこそこありました。 ですが、ほとんどは現場では実害を与えるものではないと思います。 仮に現場で誰かが言っててもスルーする*2程度ですね。
気づいたところをつらつら書こうかなと思ったのですが、そもそも対象読者が気にするものではないと思ったので、今回は書かないことにします。 チラシの裏(gist)に書いてってるので、そのうちリンクしようかな・・・
こんな人にオススメ
メインは業務でなんとかコーディングしている3-5年生くらいのプログラマさんかな。 がんばって読み砕けば、きっと以前の自分のコードを見て「うわぁ・・・」とか思えるはず。 自分のコードにコレジャナイ感を持っているなら是非どうぞ。
また、10年以上経験のある方もアップデートに良いと思います。 最新をある程度キャッチできてるつもりの私も「あ、こんなのあったんだ」みたいなのはありました。 読んで損するものではないでしょう。
後半にかけて急激にレベルが上がるので、序盤をなんとか読める程度の方にはなかなかハードな気はします。 入門とはいえ決して軽い門ではありませんが、まあ「門にも色々あっていいよね」とか言ってる人もいるんでいいんじゃないかな。
DIコンテナのインジェクション方法の使い分けについて
DIコンテナを使う時にどのインジェクションを使うかって話です。 たぶん誰かがどこかで同じようなことを書いているだろうけれど、気にせず書くよ。 「他の誰かが書いている」なんてのを書かない理由にしてると何も書けなくなるし。
- コンテナ
- DIコンテナのこと。
- コンテナ管理
- インスタンスのライフサイクルをコンテナが管理していること。雑に言えば、使う側で new しないってこと。
- インジェクション
- Dependency Injectionのこと。
Short Answer
コンストラクタインジェクションを使いましょう。使い分けなくていいです。
3種類のインジェクション
インジェクションには3種類ありますね。他あっても知らない。
- フィールドインジェクション
- セッターインジェクション
- コンストラクタインジェクション
フィールドインジェクション
一番よく見るかな。
class Hoge { @Inject Piyo piyo; }
この状態でHoge
をコンテナにインスタンス生成してもらうと、piyo
フィールドにコンテナ管理されているPiyo
インスタンスがインジェクションされる。
記述量が少なくて済むのは嬉しいですね。
このインスタンスをコンテナ外で生成して使おうとすると、piyo
フィールドに何かしらの方法でインスタンスを設定してあげなきゃいけない。
何かしらの方法ってのは十中八九リフレクションですね。フィールドをpublic
にする手もあるけれど、あまりしないかな。
コンテナでライフサイクルを管理したいオブジェクトは、プロダクトコードではコンテナ外で使いません(やっちゃいけない)が、テストコードではありえます。
問題点は、(リフレクションを使わない場合)テストでコンテナを使わないといけなくなります。 コンテナを使うと重くなります。 コンテナの重さはキャッシュやコンテナの高速化などで対応できなくはないです。 とはいえ、テストの重さがコンテナの起動時間に支配されている開発現場において、適切な対応がされることは稀です。 対応せずに放置すると、単純に時間がかかるのでテストの実行機会が減ります。とても残念ですね。
もう一つ問題があって、このオブジェクトがコンテナに依存することです。 せっかくDIコンテナを使うことで依存関係を逆転させたのに、DIコンテナを使わないと適切にインスタンス生成できない物体になっています。 なんというか、本末転倒感があります。 個人的にはこちらの理由で使いたくない。
セッターインジェクション
黎明期によく見たけど、最近はあまり見ないような。
class Hoge { Piyo piyo; @Inject void setPiyo(Piyo piyo) { this.piyo = piyo; } }
この状態でHoge
をコンテナにインスタンス生成してもらうと、setPiyo(Piyo)
メソッドがコンテナ管理されているPiyo
インスタンスを引数として呼び出される。
前述のリフレクション云々よりは挙動がわかりやすいですね。
コンテナ外で使う時も、自分でインスタンス生成してからセッターを呼び出せばいいだけです。
問題点は、セッターなこと。 って言うと趣味が入ってるように捉えられるかもですが、セッターを持つってことは、状態遷移があるってことなんです。 状態遷移があるオブジェクトは不安定です。組み合わせるともっと不安定になります。 疑心暗鬼になりながら使いたくないです。
なんだかんだで、コンテナ管理するインスタンスってコンテナ内ではシングルトンなことが多いです。 スコープを省略した場合のデフォルトがシングルトンなことからもわかるかと思います。 これはこれでどうなって思うのですが、まあ現状はそうです。 そんなインスタンスの状態が不安定とか言われると、私は落ち着いて開発できない。
私の心理的な安全のためにセッターインジェクションは使わないでほしいです。 フィールドインジェクションは「リフレクションを使う時点で危険なのをわかってやってる」と自分に言い聞かせることができるので、この点は許容できます。
コンストラクタインジェクション
なぜかあまり見ない。
class Hoge { final Piyo piyo; @Inject public Hoge(Piyo piyo) { this.piyo = piyo; } }
この状態でHoge
をコンテナにインスタンス生成してもらうと、コンテナ管理されているPiyo
インスタンスがコンストラクタの引数として呼び出される。
インジェクションタイミングがわかりやすいのがいいですね。
フィールドインジェクションと比較して「インジェクションする数が増えると積み重なってすごく冗長になる」と言うのを聞きます。 でも、それだけ多くのものに依存している状態がそもそもおかしいと断言できます。
インスタンス生成時点で状態が安定するのが実に良い。
フィールドにfinal
つけれるのが嬉しいです。
フィールドもローカル変数もデフォルトfinal
にならないかなぁと常々思うけど、これは別の話。
<脱線>
フィールドインジェクションはデフォルトコンストラクタなどでインスタンスを生成してから、フィールドにリフレクションで設定します。セッターインジェクションも同じです。
そのため、インスタンス生成直後に値が入ってなかったりします。
その間隙をついてNullPointerException
が起こったりすることも無いとは言えません。
実際起こることはあまりないのですが、疑いたくなる気持ちをわかってください。
</脱線>
また、インスタンス生成で必要なものがコンストラクタで明示されています。 テストなどのコンテナの外でインスタンス生成する際も特に制約はありません。
と言うことで、問題点は特に挙げられません。
なお、Springでもコンストラクタインジェクションは@Autowired
とか書かなくてもインジェクションしてくれるようになってたりします。
この辺もコンストラクタインジェクションの追い風。
なぜ複数のインジェクション方法があるのか
コンテナを作る側の都合かなーと。知らんけど。 使う側の事情でこの3種類のインジェクションを使い分けたことは今までなくて、多分今後もない。
インスタンスを生成するためにはコンストラクタを呼ぶ必要があります。
「コンテナ管理するにはデフォルトコンストラクタが必要」なんてのを見聞きしたことはあるでしょう。
これはインスタンス生成時にClass#newInstance()
を使ってるから…なんて理由ではないと思いますが、ともかく単にインスタンス生成するだけならデフォルトコンストラクタが楽です。
コンテナに限らず、インスタンスを生成するライブラリがデフォルトコンストラクタを要求するのは珍しい話ではありません。
そう言えばClass#newInstance()
がJDK9でDeprecatedになりますね。関係ないですけど。
話を戻して。コンテナを作る側の都合ではフィールドインジェクションが楽です。 コンテナ管理対象のインスタンスを一通り生成してから必要なインスタンスをインジェクションしていけばいいだけだからです。
コンストラクタインジェクションでは、コンストラクタが要求するインスタンスを先に生成する必要があります。 インジェクション対象のインスタンスがなければコンストラクタを呼び出せないですから。 こうなってくると、インスタンスの生成順を考慮しないといけなくなるわけで、コンテナが多段構成になっていたり、定義の上書きがあったりするととても面倒です。 依存関係の循環なども問題になってきます。
セッターインジェクションでも生成順は問題になってきます。 なぜならインジェクションで呼び出すのはメソッドなので、メソッドで引数のオブジェクトのメソッドが呼び出されるかもしれません。 「セッターではメソッド呼び出しをしないでください」とか言うわけにもいかないので、インジェクションするオブジェクトは完成している必要があります。
そんなこんなで、フィールドインジェクションが作る側の都合は楽っぽい。 その次にインスタンス生成がデフォルトコンストラクタでいいセッターインジェクションが楽で、一番面倒なのがコンストラクタインジェクションだったり。
まぁ、使う側にとっては知ったこっちゃないです。 使う側は安定した完成したインスタンスが手に入ればいいんで。
で、結論
コンストラクタインジェクションを使いましょう。