日々常々

ふつうのプログラマがあたりまえにしたいこと。

IntelliJ IDEAのGradleが使うJDKバージョン設定箇所

IntelliJ IDEAでGradleのタスク実行しようとしたら意図したバージョンで動作しなくて文句言われる場合の設定。複数のJDKを設定していなかったら起こらないと思います。

あ、Mavenも大体一緒です。

設定する場所

Build, Execution, DevelopmentBuild ToolsGradle にある Gradle JVM でGradleが使うJVMを選べます。

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このウィンドウはMacだとPreferences、WindowsだとSettingsです。なぜ違うかは知らない。

プルダウンを開くと使えるのがずらっと(複数のJDKを設定していればですが)。

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設定次第で色々ありますが Project SDK にしておくのがおすすめです。コード書くときとビルド時のJDKを変えたいなら選べるんですが、そいうケースはそんなに多くないでしょう。

JDK自体の設定は以下を参照。

irof.hateblo.jp

設定のツリー辿るの面倒

項目を覚えていればツリーを辿れますが、そんなことに記憶容量は割きたくありません。

IntelliJ IDEAさんは設定画面の検索窓にやりたい設定の項目をタイピングすればだいたい連れて行ってくれます。入力したワードを黄色の枠で強調してくれる。

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設定探すとき超便利。

とは言え今回は「Gradleの設定」ってわかっていて、絞り込みとかタイピングも面倒。一番すぐ出せるのはGradleのToolWindowのレンチボタン(🔧)から Gradle Settings... です。

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これクリックしたら最初の画面を一発で開いてくれる。

雑記

IntelliJ IDEA自体を動かすJDK(普段は存在を気にしないかもですが、メモリやfile.encodingを設定する時に「あーJDKで動いてるんだー」と気付きます。)、コード書くときに使うJDK(ProjectウィンドウのExternal Librariesに表示されます。一番目に入るし、意識するものかな。)、mainメソッドやJUnit実行時に使うJDK(▶️ボタンで実行する時の設定。通常はProject SDKですが他のも選べます。)Gradleタスクを実行する時に使うJDK(今回設定したもの)などがあり、それぞれ独立して設定、制御できます。

全部同じのを使えばいいと思われるかもしれませんが、別プロセスで動作するものですし、すなわちバージョンやメモリ量などJVMのオプションを変えられるということでもあります。これらが別に存在するのはある程度知識があれば認識できるようになりますし、別に存在するなら設定できるはず、設定できるなら設定箇所があるはず、と想像できるかと思います。

これらはいちいち気にしていたら脳のメモリが足りなくなるので、普段の開発では意識の外に置いておくのがいいことではあります。

とは言えトラブル時(よくあるのはエンコーディング違いによる文字化けやOOMEなど)にどれを設定すればいいかに当たりをつけて適切に処置するには必須の知識ですし、今後はおそらく避けては通れない「Javaのバージョンアップ」や「Javaのバージョン違いを検証する」際にどこをいじればいいかもわかってきます。IDEや開発環境はこの辺の複雑さをある程度隠すのが仕事とは言え、ちょっと意識を向けてあげてもいいのかな、と思います。

IDEJDKの話は以下のセッションでも触れています。

irof.hateblo.jp

3種類とか言ってますが「作る時に使うもの」はコード書く時に使うものと実行時に使うものに分けれますね。

Recordを使ってく上で気にしとくこと

Java16で導入されたRecordですが、Java17リリースによりこれから一気に使われていくことかと思います。

Java17雑感で「データクラスを新しく作るならRecordを使ってみる」とか書いたんで「よしRecordを使おう!……ところで何気にしなきゃなんだっけ?」な私向けに、現時点で「これくらい知っとくといいんじゃないかな」ってことを書いておきます。だらだら書いたんで順番とか内容の濃淡がひどいかもしれない。

ちゃんとした知識

とか。

あと、うらがみさんとこの「Javaのレコードについてメモ」

・・・・あれ、気になって調べたことが全部書いてある。まいっか。

書き方

record EmptyRecord() { }

record 名前 (レコードコンポーネントのリスト) {ボディー} ですね。ちゃんとしたのは言語仕様の方を。 空っぽでも () とか {} とかは必要。空のRecordの存在意義は知りませんが。

素直に書くとこんなの。

record Point(int x, int y) { }

シンプルで良い。けど { } がちょっとダサい。なくしたらセミコロン書かなきゃいけなさそうだし、仕方ないか(そんな理由じゃないはず)。

  • record って名前はパッケージ名とか変数名とかには使える。
    • クラス名には使えない(Java14以降)
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      • 小文字クラス名とかやらないだろから問題ないでしょ。
  • int x, int y とかを「レコードコンポーネント」と呼ぶらしい。
    • 呼び方は個人的に一番重要なとこだったりする。
    • record宣言で書くのは「レコードコンポーネント」であり、フィールドでもプロパティでもない。
  • レコードコンポーネントに対応したコンストラクタ(CanonicalConstructor)とフィールド、アクセサメソッドが自動的に作られる。
    • 型と名前はレコードコンポーネントと同じ。
    • 自分で定義したら作られない。デフォルトコンストラクタとかと同じ感じ。
  • アクセサメソッドは自分でも定義できる。
    • レコードコンポーネントと同じ型と名前。
    • 引数なし、throwsなしである必要がある。
    • 後述のアノテーションの問題もあるし、自分では作らないほうがいいかも。
  • フィールドは static だけ。インスタンスフィールドを書いたらコンパイルエラー。
  • 他のメソッドは好きに作れる。
  • コンストラクタも好きに作れる。
    • CanonicalConstructorも作れる。型と名前をレコードコンポーネントに合わせる必要がある。
    • CanonicalConstructorを呼ぶようにしなきゃいけないってくらい。 super() は呼べなかった。
  • あと native メソッドは書けない。書かないからいいけど。

CanonicalConstructorとかコンストラクタがちょっと特別なくらいで、他は難しい構文でもないと思います。

お約束

R copy = new R(r.c1(), r.c2(), ..., r.cn()); とやったとき r.equals(copy)true にならなきゃいけない。ってJavadocに書いてる。 アクセサメソッドやCanonicalConstructorを自分で実装せず生成されるものに任せればいい話。

こんな変なことをするなってことです。(コンパイルは通っちゃう)

record NgRecord(int hoge, int fuga) {
    NgRecord(int hoge, int fuga) {
        this.fuga = hoge;
        this.hoge = fuga;
    }
}

アクセサメソッドで計算してもいいけど、その計算結果をコンストラクタで受けたらアクセサメソッドで同じ値を返すようになってなきゃいけない。

これは「お約束」であって崩せるわけだけど、崩しちゃいけない。equals/hashcodeのように実装するなら意識しとけよってものです。「 equalsが同じになるならhashcodeが同じにならないといけない」ってやつね。 equals/hashcodeよりかは何もしなければ守られるものなので、多少ましかな。似たり寄ったりではあるけど。

今あるのをRecordにする?

無理にする必要はないと思うけど……

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完全コンストラクタを使って全フィールドが final だとIntelliJ IDEAさんは「Recordにしようぜ!」と言ってきます(Weak Warning)。で、サクッと置き換えてくれます。

さすがにアクセサメソッドを置き換えてはくれないので、「recordのアクセサメソッドを使うように置き換えてインライン化」とかはしなきゃな感じ。

自分でツール作ろうと思ったけど、IntelliJ IDEAさんマジIntelliJ IDEAさんだわ。

アノテーションとリフレクション

アプリケーションプログラミングレベルだと特に問題なく使える確信はあります。おそらくイミュータブルなデータコンテナを扱えるかが最大のハードル。 そんなのはRecordに限った話ではないので、気になるのは足回りです。リフレクションとかバイトコードとかです。 バイトコードはどうせJIG対応する時にしっかりみなきゃなので、ここではリフレクションとか、フレームワークやライブラリ目線で。。。

  • private final でも setAccessible(true) したら上書きできるんだけど、recordで作ったクラスだとできない。
    • リフレクションAPIの中で判定入ってる。
    • リフレクションで値をセットしているライブラリはそのままじゃ置き換えられない と言う意味。
      • なんとかしてCanonicalConstructorを使うように変更する必要がある。
      • Java16以降で対応なら次のgetRecordComponent使えるけど、15以下も同じコードで扱うならそれなりに面倒。
  • Class#getRecordComponents() とか java.lang.reflect.RecordComponent とかが追加されてる。
  • Class#isRecord() はRecordかどうかの判定メソッド。親クラスが java.lang.Record かとか見てる。

書けるアノテーション

@Target(ElementType.FIELD)
public @interface FieldAnnotation { }

と言う感じのアノテーションを全ElementTypeの文作った上でこんなコードを書いて、リフレクションで取ってみるなど。

@TypeAnnotation
@TypeUseAnnotation
record AnnotatedRecord(
        @FieldAnnotation
        @MethodAnnotation
        @ParameterAnnotation
        @RecordComponentAnnotation
        @TypeUseAnnotation
        int a,
        int b
) {

    @ConstructorAnnotation
    @TypeUseAnnotation
    AnnotatedRecord {
    }

    @MethodAnnotation
    @TypeUseAnnotation
    public int b() {
        return b;
    }
}
  • @Target(ElementType.FIELD)@Target(ElementType.METHOD) もレコードコンポーネントのとこに書ける。
  • これはそれぞれ生成されるフィールドやメソッドに引き継がれる。
    • clz.getDeclaredFields()*.getAnnotations()a@FieldAnnotation が取れる。他のアノテーションはない。
    • clz.getDeclaredMethods()*.getAnnotations()a()@MethodAnnotation が取れる。他のアノテーションはない。
    • なお アクセサメソッドを自分で定義したらアノテーションは引き継がれない。自分でメソッド書くなら自分でアノテーションも書けということ。
  • ちなみに clz.getRecordComponents()*.getAnnotations() では @RecordComponentAnnotation しか取れない。
    • 他の4つは行方不明。
  • コンストラクタのアノテーションを書きたかったらCompact Canonical Constructorsを作る。
    • record@ConstructorAnnotation 書いたらいけるかな?とか思ったけどそんなことなかった。

CanonicalConstructorの見分けかた

java.lang.reflect.Constructor からは特になさそう。javap で見えるコンストラクタも特別なフラグとか持ってない。

Class#getRecordComponents() で型を特定してコンストラクタ取るのが確実かな。

var parameterTypes = Arrays.stream(clz.getRecordComponents())
        .map(RecordComponent::getType)
        .toArray(Class[]::new);
var constructor = clz.getDeclaredConstructor(parameterTypes);

とはいえこれも生成されたのと手で書いたのの区別はつかないわけだけど。 まぁ「お約束」もあるし、名前とか一致してたらいいでしょ。

2021-10-22T23:16 追記 Javadocにまんま書いてた

Class.html#getRecordComponents()

static <T extends Record> Constructor<T> getCanonicalConstructor(Class<T> cls)
     throws NoSuchMethodException {
   Class<?>[] paramTypes =
     Arrays.stream(cls.getRecordComponents())
           .map(RecordComponent::getType)
           .toArray(Class<?>[]::new);
   return cls.getDeclaredConstructor(paramTypes);
 }

javadocにメソッド書かず Class にメソッド生やしておいてください(真顔

リフレクションでのインスタンスコピー

CanonicalConstructorの識別がなぜ必要かと言うと、リフレクションで特定のレコードコンポーネントだけ値を変えたインスタンスを作りたいとかなった場合。

  • CanonicalConstructorを見つける(上記)
  • レコードコンポーネントの値を取得
    • 前述の「お約束」があるので、フィールドからでもアクセサメソッドからでもどっちからでも良い。
    • けど private 無理矢理見るより、素直にアクセサメソッドかな。
  • 必要な値を準備
  • CanonicalConstructorでインスタンス生成

って感じかしら。たぶんBeanUtilsかなんかで実装してるのもうあるだろし、そのうち見とこう。。

2021-09-24T10:30追記

やりたくはないんや……

「各Recordに手を入れず」「一律」となると厳しい感。自分でならwith作るんだけど、目の届かない領域のある開発体制組まれると、どこかで必要になってくる。 そいやLombokはrecordにいい感じのwithを生やしてくれたりするんだろか。

リフレクション関連で思ったこと

フィールドやメソッドにレコードコンポーネントに書いたアノテーションを持ってってくれるのが良い。 これなら既存のアノテーションベースのライブラリもそれなりに素直に対応できるんじゃなかろーか。

Field#set(Object, Object)accessible = true でも拒否されたのはびっくりしました。 recordじゃないfinal フィールドも蹴るようにしたいけど、そうしたらいろんなライブラリが動かなくなりそうねぇ。

Local record classes

JEPに書いてて面白いと思ったのがLocal record classes。コードを転載。

List<Merchant> findTopMerchants(List<Merchant> merchants, int month) {
    // Local record
    record MerchantSales(Merchant merchant, double sales) {}

    return merchants.stream()
        .map(merchant -> new MerchantSales(merchant, computeSales(merchant, month)))
        .sorted((m1, m2) -> Double.compare(m2.sales(), m1.sales()))
        .map(MerchantSales::merchant)
        .collect(toList());
}

ローカルクラスなんて使わないよとか昔から思ってたわけですが、これはありな気がしなくもなくもなく。

ちなみにRecordは型パラメーターを持てるので、こんなTupleは書ける。

record Tuple<A, B>(A a, B b) { }

そして「こんなの作らずにちゃんと名前つけようよ!!」って書いてる。

A central aspect of Java's design philosophy is that names matter.

御意。。

ところでjava.lang.Recordクラス

コード見ての通りequalshashcodetoStringabstract でOverrideされているだけのクラスです。あとコンストラクタが protected だったりします。 extendsimplementsはありません。 Serializable も実装していないんだなーそりゃそうかーと見てたら、「実装したら serializable recordとして特別扱いする。具体的にはシリアライズにreadObjectやwriteObjectは使わない」とか書いてるので、もしシリアライズするなら注意がいるかもです。うらがみさんが試してるのでそっち参照。

ところでrecordで生成されるクラス

enumextends java.lang.Enum になるように、 recordextends java.lang.Recordになります。 これは Recordに独自の基底クラスを作れない と言う意味になります。あと final にもなるので record で作ったクラスを継承もできません。

Recordの主な用途であるDTOですが、共通項目を基底クラスで宣言して実装継承をしているような用途だと、そのままは代替できません。インタフェースは実装できるのでそちらで共通項目を強制するようなことは可能ですが、レコードコンポーネントは記述する必要はあります。

DTOの実装継承で省力化してたら辛いことありそうですね。

javapのMethodParameters

コンパイルする時に -parameters をつけるとメソッドの仮引数名がクラスファイルに残って、リフレクションとかで使えるようになります。( spring-boot-starter-parentを使ったら有効 になってたりします。)

つけなかったらコンパイル時に消えてリフレクションや javap とかで仮引数名が見えなくなるんですけど、CanonicalConstructorは -parameters をつけなくても MethodParameters が入ってたりします。シリアライズの時に使ってたりするのかな。

思ったこと

素直にDTOの代わりに使うのは思ったよりハードルありそうだなー。

開発環境のJDKセットアップ

最近「どこどこのサイトからダウンロード」とかしてないなぁ、と思ったので。

  • IntelliJ IDEA Community Edition 2021.2.2
  • SDKMAN 5.12.4

macOS(メイン)

SDKMAN!にお任せ。

IntelliJ IDEAからはAdd JDK~/.sdkman/candidates/java に入ってるのの主だったもの(8, 11, 17)を適当に入れてます。 SDKMAN!で新しいバージョンのを入れた時、古いのを削除するとリンク切れになって地味に面倒だったりします。

なんで ~/.sdkman/candidates/java/current/bin/java を current-jdk とか言う名前で追加してたりします。これはjava全部消さないと消えない。 勝手に変わるんでアレだけど。(自分で変えてる)

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今入ってるの

Windows

SDKMAN!がないので、IntelliJ IDEAさんにダウンロードしてもらってます。楽々。

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この次にダウンロードするJDKが選べる

コード書く分にはこれだけでいいんで楽なんですが、 PATHJAVA_HOME はセットしてくれないので javap とかを衝動的に叩いても動かなかったりします。 javap 叩けないと地味に困るので、環境変数を自分で編集してIntelliJ IDEAさんが入れてくれたのを指定します。 デコンパイラで見るのもいいんですが、それと javap は別腹なんです。あと jshell もたまに叩きたくなる。JAVA_HOMEmvn とか叩きたくなった時に「要ったなー」とか言いながら。

CI(コンテナ)

Docker Hubから、適当に、良い感じのを……

コンテナのサイズは正直あまり気にしてないです。

JDK入ってたらとりあえずなんでもよくて、ビルドツールは後述のWrapperが基本。 CircleCIとかGitHub ActionsとかのCIサービスのコンテナが使える時はそのまま使ったり。

実行環境

Cloud Native Buildpacksとか、 gradle bootBuildImage とか。

コメント

見ての通りワンクッション挟んでるので、本家でリリースされても使えるようになるまでしばらくかかったりします。 「すぐに試したい!」みたいなタイプではないんで、特に困らないタイムラグです。しばらくって言っても、3日もかからないし。 ありがとうございます、と感謝しながら乗っかってる。

おまけ: ビルドツール

  • Gradle はSDKMAN!で入れてる。メジャーバージョンごとに最新を3世代くらい。
  • MavenHomebrewで入れてる。(何故かは忘れた……)
  • CIでもローカルでも使うのはもっぱらWrapper( gradlewmvnw )なので、環境にインストールする物はWrapperのセットアップが主な使い方。触るリポジトリが多くて、それぞれビルドツールのバージョンがまちまちなんで、Wrapperなかったらやってられないです。